2008年診療報酬改定に対する要求

 

 

全国保険医団体連合会

 

 

2008年6月

 

 

【T】 改定要求の基本的考え方

 社会保険制度は、日本国憲法第25条の理念を具体化したものであり、患者・国民にとっては社会保障としての医療を受ける権利と給付内容を規定するものが医療保険制度である。この医療保険制度を支える医療従事者の待遇改善や設備更新に必要な経営の原資となるものが診療報酬である。
 しかし、現在の診療報酬は、医療機関の健全経営を維持する点からも、患者・国民の医療を受ける権利を保障する面においても十分なものとはなっていない。
 これは、欧米諸国に比べて技術料が全般的に低くおさえられていることや、GDPに占める医療費の割合も歴史的に低い水準であった上に、1980年代以降特に顕著になった政府の医療費抑制政策の結果である。その上、2000年からの小泉「構造改革」によって、さらなる医療費の抑制策が推し進められ、国民皆保険は空洞化している。
 特に2006年のマイナス改定では、リハビリの日数制限や療養病床の削減などによって必要な医療を受けられない事態が生じている。財務省主導によるこれ以上の診療報酬の抑制は、医療現場を荒廃の危機にさらし必要な医療が受けられない「医療難民」を生みだすことになる。
 マスコミでも「医療崩壊」を連日のように報道しているが、今日の医療荒廃をもたらした最大の要因は、80年代以降の政府のあいつぐ医療費抑制、診療報酬マイナス改定にある。
 こうした点からも、必要な医療を提供するための医療費を確保するため緊急な対応が必要であり、医療の質を確保するため、私たちは少なくとも7.25%の診療報酬引き上げを要望するものである。
 2008年の診療報酬改定にあたり、政府・財界が進める公的保険の範囲縮小と医療費の削減、患者負担増大の道ではなく、医療保険制度を充実し、「いつでも、どこでも、誰でもが、必要な医療を受けられる」診療報酬体系にすることを強く望み、下記の要求を掲げるものである。
 なお、相次ぐ窓口負担率の引き上げによって、患者の受診が抑制されている。いわゆる先進国の中では患者一部負担は無料のところが多く、日本の患者負担は比較すると一番高い。
 私たちは、診療報酬の引き上げ・改善とあわせて、下記の点の実現を強く求めるものである。

(1)

国庫負担と企業負担を増やして、医療保険の患者負担割合を次の通りとすること。

  @

 就学前の子どもの負担を、無料とすること。

  A

 70歳未満の健保・国保の患者負担割合を、2割に引き下げること。

  B

 高齢者の患者負担は、外来は1割定率または1回500円(月額1000円を上限)で入院は1日700円とすること。

(2)

ホテルコスト、食事、180日超入院、日数超リハビリテーションなどを保険給付に戻し、新たな保険給付外しを行わないこと。

(3) 

患者負担を増大させ、患者から医療を受ける権利を奪う混合診療の解禁や保険外併用療養費の拡大を行なわないこと。保険外併用療養の全てを保険導入の検討対象とすること。

 
【U】2008年度診療報酬改定に対する医科・歯科基本要求

 2008年の診療報酬改定にあたっては、マイナス改定は断固認められない。少なくとも7.25%以上の診療報酬引き上げを行うこと。勤務医の厳しい労働環境の改善を理由に開業医の診療報酬引き下げや労働強化を行わないこと。また、薬価・材料価格にメスを入れ、正当な価格設定に引き下げること。

(理由)

 小泉構造改革による診療報酬の引き下げで、必要な医療の提供すら阻害されている。この改善には、本来なら10%を超える大幅な引き上げが必要であるが、2008年改定では、小泉構造改革による負の遺産を断ち切り、必要な医療が公的医療保険で提供できる出発点とすることを目的とし、小泉政権下での3回のマイナス改定(2002年▲2.7%、2004年▲1.05%、2006年▲3.16%)を取り戻すため、7.25%{100/(97.3%×98.95%×96.84%)=100/93.23595=1.0725=7.25%の引き上げ}以上の引き上げを行うべきである。なお、7.25%引き上げた場合は、総医療費で2兆円程度の拡大となる。日医総研の資料「医療提供体制の国際比較」によれば、2004年度ベースの国民医療費32兆円に、介護保険サービス費、健康・予防にかかわる費用、管理コスト等の9兆円を加えた総医療費は41兆円とされており、2004年度の対GDP比総医療費支出は8%となっている。総医療費で2兆円程度増加すれば8.45%程度になると推計できる。これが実現された場合は、OECD加盟国中21位から16位程度に引き上がる。しかしこれは、2004年度で置き換えた場合であり、毎年伸張しているGDPの2008年度比では、8.45%を大きく下回り、現実には16位程度に引き上がるとは考えられない。これは日本の国力からいっても最低限の要求である。さらに、勤務医の厳しい労働条件を引き合いに出して開業医の診療報酬の引き下げと労働強化を求める改定も検討されているが、絶対に容認できない。

 2006年改定によってもたらされた患者への医療制限、不合理を改善すること。

 (1)

 リハビリテーション料の日数制限・逓減制を廃止し、個々の患者の必要性に応じてリハビリ医療ができるようにし、維持期リハビリについても点数を減算することなく、疾患別リハビリテーションの点数が医療保険で算定できるよう給付にすること。

 (2)

 歯科の医学管理料における文書提供義務化を撤廃すること。診療上の必要性により文書提供を行なった場合は、文書提供料を別途設定すること。

 (3)

 医療療養病床における医療区分1の診療報酬(入院基本料D・E)を、医師・看護職員をはじめとした人件費や医療提供にかかわる諸経費を保障できるよう(入院基本料C相当)に引き上げること。

 (4)

 個別の費用ごとに区分して記載した領収書発行の義務化を撤回すること。

(理由)

  リハビリテーションの日数制限や、医療療養病床における医療区分1の低診療報酬設定によって、患者が必要な医療を受けられない事態となっており、早急な改善を要する。
 また、歯科の医学管理における文書提供は、毎回の文書作成に追われ歯科医師と患者の対面時間を削ぎ、患者への十分な説明時間にも支障をきたすなど本来必要とされる歯科診療への専念を困難にしている。
 また、医療機関は、「医療」の内容について患者に説明する義務があるが、政府が決めた複雑で説明が困難な「医療費」の内容・仕組みを患者に説明する義務はない。医療機関が「個別の費用ごとに区分して記載」した領収証を患者に渡すことによって、その患者が自分の治療を理解し、患者と医師との信頼関係が深まることにはなりえない。

 診療報酬の請求をオンラインによる方法に限定しないこと。また、医師の裁量権を否定し、画一的医療に導く可能性のあるオンラインシステムの導入を凍結し、内容を再検討すること。

(理由)

 診療報酬のオンライン請求の義務付けは、メーカー利益誘導と社会保障個人管理システム化の恐れがある。また、個人情報保護の点からも、患者の立場に立たない医療費削減、医療そのものの総管理という点からも問題がある。さらに、全ての医療機関に義務付けられるが、対応できない医療機関も少なくない。オンライン請求に限定せず、紙媒体での請求を今後とも認めるべきである。

 高齢者の診療報酬を一般患者の診療報酬と区分せず、「人頭登録制」等の導入によって必要な医療の提供やフリーアクセスが制限されないようにすること。医療は、個々の患者の状況に基づいて必要に応じて提供するものであり、それを評価する報酬を年齢によって切り分け、別建てとすることに、必然性も根拠もない。

(理由)

 2008年4月からの後期高齢者医療保険制度の導入に伴い、高齢者の診療報酬を一般と区分して包括・定額制中心とし、人頭登録制を導入することが検討されている。これは医療費抑制の観点から、高齢者の医療提供の場を入院医療から居宅に転換し、病院には病床削減を、開業医には労働強化を押し付け、患者から必要な医療を奪うものである。後期高齢者の医療を差別することは、その生命を軽んじることにほかならない。公的医療保険制度を導入していながら診療報酬を年齢によって切り分けている国はない。また、厚生労働省が2007年2月8日に発表した「医療評価委員会『論点整理』に対する厚生労働省の考え方」では、「診療報酬体系については、患者にとって分かりやすい医療を提供するという観点から、例えば平成18年診療報酬改定において老人診療報酬点数表を廃止し、医科診療報酬点数表等と一本化するなど、累次の診療報酬改定において、その簡素化を図ってきているところであり、今後も、当該観点からの簡素化には努めていきたいと考えている」としているところであり、まったく説明がつかないものである。

 社会保障の原則である公平性、平等性の観点から、診療報酬点数表や1点単価に都道府県格差を導入しないこと。

(理由)

 保険財政や医療費適正化計画の数値目標の達成状況により、都道府県別の診療報酬の特例を定めることができるようにしようとしているが、社会保障の原則である公平性、平等性の観点から、これらの導入をすべきではない。

 必要な医療は、医療保険で最後まで提供することを基本とし、「公的医療保険で賄う範囲の縮小」を行わないこと。

 (1)

 @リハビリテーションの日数制限と逓減、A180日超入院の保険給付外しなどをやめ、必要な医療の提供が、公的医療保険によって保障できるようにすること。

 (2)

 歯科では、治療の一環として行なわれる歯周病の管理について、病状や管理日数期間によって保険給付から外し患者の自費扱いとするような、保険給付の制限は行なわないこと。

 (3)

 安全性や有効性が確認された新医療技術を速やかに保険に導入し、保険の適用範囲を拡大すること。

(理由)

 財界からは、「保険給付対象や日数等の直接的な制限」、「保険外併用療養費の拡大」など、あらゆる手段を通じて保険給付範囲の制限と患者負担化が求められており、リハビリの日数制限と逓減、180日超入院など、治療が必要であるにもかかわらず、医療保険給付が打ち切られる状態となっている。これは、健康保険法に規定された「療養の給付」の概念を根底から覆すものである。
 また、歯科の慢性病である歯周病について、安定期の管理に関して病態や管理期間によって保険給付を制限するような検討が進められているが、患者に必要とされる医療は保険給付として提供すべきである。

 初・再診料を基礎的技術料として十分に評価し、引き上げること。初・再診料等の医科・歯科格差、病診格差、病床数格差を解消すること。外来医療への定額制の導入や包括性の拡大を行わないこと。勤務医の厳しい労働環境の改善を理由に開業医の診療報酬引き下げや労働強化を行わないこと。

(理由)

 基本的技術料である初・再診料の引き上げは優先して実施されるべきものである。医科・歯科、病・診、病床数による点数格差を設けるべきではない。また、勤務医の厳しい労働条件を引き合いに出して開業医の診療報酬の引き下げと労働強化を求める改定も検討されているが、絶対に容認できない。

 全ての医療従事者の技術と労働、医療提供にかかる諸費用を診療報酬で正当に評価すること。

(理由)

 安全で質の高い保険診療は提供するためにも、全ての医療従事者の技術と労働、医療材料や医療安全管理、保険請求のための費用など、医療提供のコストを正当に評価することが必要である。

 医療提供のためにかかる全ての諸費用を正当に評価するよう、所謂「出来高払い」を原則とすること。包括する場合は、その積算根拠を示すこと。

(理由)

 医療提供にかかる全ての諸費用を正当に評価した点数であることが当然必要であり、そのことが万人に理解できるためには、積算根拠がわかるものでなければならない。

10

 歯科の指導管理料における一律の文書提供義務化は、撤廃すること。必要によって文書提供を行った場合は、文書作成料としてこれを正当に評価すること。

(理由)

 一律の文書提供については、歯科医師と患者の対面時間を削ぎ、患者への十分な説明時間を制限してこれまで以上に歯科診療への専念を困難にしている。文書提供が必要で、文書作成を行った場合は、文書作成料としてこれを正当に評価すべきである。

11

 病床規模や平均在院日数など、根拠の乏しい指標に基づく点数格差をなくすこと。

(理由)

 病床規模によって点数に格差を設けることには、根拠がない。また、平均在院日数を入院基本料の届出の要件とすることは不合理である。

12

 「施設基準の届出」を要する医療は、人員や施設に規定を設けなければ患者への影響が大きいものに限定すること。また、院内掲示の義務付けは、名称のみとすること。

(理由)

 患者への影響がない届出は、廃止すべきである。また、「患者が受けられるサービス等がわかる内容」の院内掲示は、医療機関側が患者に伝えたい内容を患者にわかりやすい方法で行うことが望ましい。したがって、届出したサービス内容については、任意とし、届出毎に患者が受けられるサービス等がわかるよう、閲覧可能な状態にした帳票でも可とすべきである。

13

 点数項目の算定制限は、全て自院による取扱いとし、他医療機関との併算定を禁止する制限は撤廃すること。

(理由)

 併算定禁止によって、患者のフリーアクセスが制限される。また、自院の責任によらない内容についても制限を設けることは医療機関のみならず、患者に対しても不利益が生じる。

14

 特定入院料等を算定する患者が、入院の契機となった疾病以外の疾病治療のため、他の医療機関で外来受診を行い、当該医療機関で実施できない検査や治療を行なう必要がある場合は、当該診療にかかる費用を他医療機関において請求できるとともに、入院医療機関では当該特定入院料を減額することなく算定できるようにすること。

(理由)

 入院の契機となった疾患以外の疾患であって、入院医療機関で実施できない検査や治療は、他医療機関でも請求でき、入院医療機関でも特定入院料等を算定できるべきである。

15

 介護保険施設等入所者の医療の算定制限を撤廃すること。

(理由)

 介護保険施設等入所者に対する医療の制限は、急性増悪などの必要な医療の提供すら阻害してしまう事例もあり、こうした算定制限は、廃止すべきである。

16

 介護保険給付サービスのうち、医療系サービスは医療保険給付に戻すこと。

(理由)

 医療は、医療保険によって提供されるべきであり、居宅療養管理指導、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、短期入所療養介護・介護老人保健施設・介護療養型医療施設における医療サービスを医療保険給付に戻すべきである。

17

 検証部会の結果等で通常の改定時期でない時期に、国民に必要な医療を提供するため再改定を行なう場合は、「財政中立」を前提とせず、必要な医療を提供するための財源を確保して実施すること。

(理由)

 2006年改定では、疾患別リハビリテーションに日数制限が導入され、必要なリハビリテーションが受けられない事態が相次いだ。リハビリテーション日数制限撤廃を求める国民的な運動の中で中医協は、再改定を決定したが、「財政中立」のもとで行なわれたため、逓減制が導入され、この結果、多くの医療機関で再改定前より経営が悪化しており、このままでは必要なリハビリテーションの提供が困難になっている。国民に必要な医療を提供するための再改定であったはずなのに、再改定の結果は、そうはなっていない。「財政中立」を前提とするのではなく、必要な医療を提供するための財源を確保すべきである。

18

 2008年診療報酬改定にあたっては、中医協公聴会の開催、改定意見募集をさらに広げること。

(理由)

 2006年改定では、中医協公聴会を開催し改定意見の募集を行うなど、診療報酬改定に向けた改善が図られた。しかし、第一回目ということもあり、公聴会は横浜での1回のみの開催で、改定意見についても募集期間が短く、かつ寄せられた個々の意見に対する考え方も、示されなかった。2008年改定にあたっては、公聴会を複数個所以上で実施するとともに、改定意見の募集期間を1カ月以上設け、寄せられた意見に対する考え方を示すべきである。

19

 診療報酬改定にあたっては、官報告示から実施までの周知期間を少なくとも3か月以上設け、少なくとも1カ月以上前には通知を出し、新点数の算定開日までに不明確な解釈を残さないようにすること。2006年改定時には、かつてない多くのミ始スや訂正もれが実施直後から指摘されたにもかかわらず、半年後にようやく訂正・追加通知が発出され、点数表の追補版まで出版されるなど、医療現場に大きな混乱をもたらした。きわめてずさんな実施となった責任を明確にし、再びこのようなことが繰り返されないよう措置すること。

(理由)

 2006年改定では、4月から改定される内容が3月下旬〜4月に入らなければ判明せず、しかも誤りが多く、通知の訂正や疑義解釈が乱発され、医療の現場に大混乱をもたらした。ここ十数年、改定のたびにこうしたことが繰り返され、そのしわ寄せは、医療機関と患者に押し付けられている。こうした事態にならないよう、少なくとも1か月以上前には、関連通知が示されるべきである。

【3】医科具体要求(略)

【4】歯科具体要求

● はじめに

 

 歯科診療報酬は一貫して低診療報酬政策が貫かれてきた。そのため長期にわたり基礎的技術料が据え置き放置されるとともに、歯科の新規技術の保険導入もほとんどないまま放置されている。また、改定のたびごとに個々の治療行為の包括が行われ、包括された点数の評価は積算されないため、歯科の包括は実質点数の引き下げとなった。さらに、過去数度にわたる診療報酬改定では「かかりつけ歯科医初診料」に代表されるような、医療の個別性、特殊性を考慮しない、安価な定額評価で医療機関に患者の長期管理を課すという、診療報酬の体系が様ざまに試みられてきた。
 「かかりつけ歯科医初診料」「継続的歯科口腔衛生指導料」などこうした長期管理の評価体系は廃止されたが、06年4月改定で新たに導入された「歯科疾患総合指導料」「歯科疾患継続管理診断料」「歯科疾患継続指導料」の体系は、廃止された過去のこうした長期管理体系を再編強化したものになっている。
 以上のような、歯科医療の質と安全の保障をないがしろにした低診療報酬を基調にした改定をつうじて、歯科医療費抑制が過度に強化された結果、歯科医療の質と安全の保障がないがしろにされ、医療経営は崩壊の危機に瀕している。
 今日、適切な食事をつうじて健康の回復、維持、増進を図ることは、運動と共に慢性疾患対策として各方面で注目され、実践されているところである。病院、介護の現場においては栄養サポートチームの取り組み、口腔ケアの取り組み等をつうじ、平均在院日数の短縮、誤嚥性肺炎の減少をはじめ様ざまな効果が報告されている。あわせて8020運動などの経験で口腔機能が高く維持されていることで、総医療費が抑制されることも明らかにされてきている。これらのことを踏まえ、患者の求めに応え、必要とされる質の高い歯科治療を保障し、国民の口腔機能の維持向上を図ることをつうじて、総医療費を真に適正化するという政策に転換を図ることが求められている。
 このため、歪められた歯科診療報酬体系を、社会保障としての歯科保険医療の改善、充実の視点から捉え直し、歯科医療の質の確保、安全を保障できるよう以下のような基本要求を明確にすると共にその具体化としての重点要求の実現を求める。


● 歯科診療報酬点数表全般をつうじての要求

1

 保険の給付範囲を拡げてほしいという患者の要望に応え新規技術の保険導入を図ると共に混合診療は拡大しないこと。

(理由)

 歯科では新規技術の保険導入が医科と比べてほとんどないまま放置されてきた。このため、「保険の給付範囲を拡げてほしい」が一貫して歯科医療に対する患者の強い要望になっている。安全で質の高い歯科治療を受けたいという患者の要望に積極的に応えられるよう新規技術の保険導入を図ることが歯科の保険医療に関しては緊急の課題となっている。
 このため、例えば金属床総義歯、小臼歯の前装鋳造冠など安全性も確保され、十分普及している技術、材料は直ちに保険に導入すること。
 また、すでに評価療養、選定療養に分類されている技術、さらにどちらにも現在分類されていない技術についても安全性や普及性が図られている技術については直ちに保険導入を検討すること。
 国民の可処分所得や、勤労者の実質賃金の減少を反映して、経済的理由で保険外の歯科治療も受けられない歯科医療格差が拡大している。混合診療の拡大で国民の中の歯科医療格差をこれ以上拡大せず、必要とされる歯科医療の提供を保険で保障すること。

 歯科医療の特殊性、個別性を考慮し、症状急変でも患者の求めに積極的に応じられる評価を新設すること。

(理由)

 

 定額評価での長期管理の体系では、患者ごとに病態の変化、治療結果が異なる医療の特殊性、個別性に対応することが困難であり、また、併算定を禁じたことで患者のフリーアクセスをも制限するものになってしまう。「かかりつけ歯科医初診料」に変わって導入された「歯科疾患総合指導料」「歯科疾患継続管理診断料」「歯科疾患継続指導料」は、こうした体系の再編であり歯科医療の実態にそぐわない体系評価は廃止すること。
 また、歯周疾患継続総合診療料の廃止の結果、歯科の慢性期医療としての長期療養型継続管理が歯科医療の現場では実質行えなくなっている。しかし、治療終了後の再発予防、安定期の口腔管理は歯周病の患者からも強く求められている。歯周病の治療と管理に医療機関が積極的に応えられるようにするためには、継続管理中におきる病態変化や急発時への対応として必要とされる治療に対しては特掲診療の算定制限などは行わず、管理中の急変にも対応が必要な歯科医療の実態に則した長期療養型継続管理が実施できる評価を新設すべきである。

 文書提供一律義務化を撤廃し、必要に応じて提供した場合は正当に評価すること。

(理由)

 医学管理等の算定要件とされた一律の文書提供は、毎回の文書作成に追われることから歯科医師と患者の対面時間を削ぎ、患者への十分な説明時間にも支障をきたすなど本来必要とされる歯科診療への専念を困難にしている。また、患者や病態によっては口頭での説明のほうが患者の理解も得やすく効果的であることも考慮すべきである。このため、算定要件とされた文書提供の一律義務化は撤廃すること。文書提供に関しては、文書による情報提供が必要な場合の発行とし、また、文書提供した場合は文書作成料としてこれを別に正当に評価すること。

 一つ一つ時間と手間をかけて行なわれている基礎的技術料について、タイムスタディ調査を反映し適正に引き上げること。中医協の論議を経ずに「課長通知」などで行われた算定制限や、実質引き下げとなるような包括化はやめること。

(理由)

 普通処置、浸潤麻酔など20年、30年と長期にわたり多数の点数評価が据え置かれている。歯質を残し咬合、咀嚼機能を回復するために努力している、医療担当者の技術と労働の評価を緊急に見直し、経済変動、人件費なども勘案して正当に引き上げること。そのためにも個々に行った治療行為を正当に評価できるよう出来高払いを原則とした評価体系に改め、包括評価の拡大は行わないこと。補強線や指導料等々のように過去に包括化されものは個別点数に復活し正当に評価すること。

 咬合や咀嚼機能など患者の状態を考慮し、画一的な治療体系の見直しは行わないこと。

(理由)

 歯周疾患の治療期間であっても患者にとって咀嚼機能は必要であることを踏まえ、歯周治療と補綴治療の流れを見直し、一律に補綴治療を歯周治療の終了後にしか認めないというような患者の咀嚼機能維持の要求にも反する画一的、機械的な歯科治療体系を導入しないこと。また、歯周疾患が治癒困難な慢性疾患であることも踏まえて、治療終了後の安定期の再発予防や管理など必要な治療管理は保険給付を保障すること。医科のリハビリ治療のような期間による保険給付制限などで混合診療の拡大となるような取り扱いはしないこと。

6  

 高齢社会に対応した在宅医療を重視し、医療費抑制のための包括化は行わないこと。

(理由)

 高齢社会の進行で在宅医療の役割は広がっているが、歯科の在宅医療は大きく立ち後れている。高齢者の歯科医療、口腔ケアの需要に応えられるよう抜本的に在宅歯科医療を見直すこと。当面、常時寝たきりなど訪問診療の算定条件を患者の実態に沿って見直すなど患者・家族の要望に医療機関が積極的に応えられるよう改善すること。また、全身管理下での歯科治療が必要とされることから病院歯科と歯科診療所との連携がこれまで以上に必要とされており、病院歯科が拡充できるよう病院歯科の評価を抜本的に改めること。
 後期高齢者の診療報酬については、包括払いや人頭登録制などが取りざたされているが、患者の医療機関選択権を制限し医療費抑制のために後期高齢者に医療差別を導入するような診療報酬制度には反対する。高齢者の咀嚼機能の維持、口腔ケア改善、管理など高齢者の心身の特性を考慮し、また、フリーアクセスを制限せず、出来高払いを基本に検討すべきである。

 必要以上に煩雑で過大なカルテ、レセプト等への記載義務化を撤廃すること。

(理由)

 歯科ではすべての指導管理料に患者への文書提供が義務づけられたうえにさらに検査、処置、手術、歯冠修復欠損補綴など特掲診療料の多くの項目にまで検査結果や治療部位などについてカルテ及びレセプトの摘要欄への詳細な記載と患者への交付文書の添付などが算定の要件とされた。歯科医師に過度な負担を強要したことで診療への専念を困難にしている。診療に集中できるよう煩雑で過大なレセプト、カルテなどへの記載義務化はやめるべきである。


● 歯科診療報酬点数表に沿っての個別要求

1 初診料(A000)、再診料(A001

(1)

 初診料、再診料を医科と同評価に引き上げること。

(理由)

 医科歯科格差是正、院内感染防止費用を考慮すること。

(2)

 かかりつけ歯科医初診料・かかりつけ歯科医再診料の引き上げ・誘導のために、これまでの改定で引き下げや包括された点数を全て復活させること。

(3)

 地域歯科診療支援病院歯科初診料は、施設基準を緩和し点数を引き上げること。

(理由)

 病院歯科が担っている二次医療機関としての機能を正当に評価すること。

2 特掲診療料全体

(1)

 幼児に関する特掲診療料の50/100加算を6歳未満に戻すこと。

3 医学管理等(B000〜B012)

(1)

 歯科疾患総合指導料(B000-3)、歯科疾患継続指導料(B004-8)を廃止すること。

(理由)

 文書提供、患者の同意・署名、包括化など歯科診療実態に合わない。

(2)

 医学管理等の算定要件とされた患者への文書提供の義務づけを撤廃すること。診療上の必要性により文書提供を行った場合は、文書提供料を別途設定すること。

(3)

 歯周疾患指導管理料(B001)、歯科口腔衛生指導料(B000)などの指導料の評価を大幅に引き上げること。

(理由)

 患者の自己管理を指導することは、歯科の二大疾患においてとりわけ重要である。

(4)

 歯科衛生士の技術と労働を適正に評価するため歯科衛生実地指導料(B001-2)を引き上げ、月1回の算定制限を緩和すること。

(5)

 実地指導(歯科衛生実地指導と同等)を歯科医師が行った場合の評価を設定すること。

(6)

 「C選療」は廃止すること。フッ化物の局所応用はう蝕治療歯数の多寡によらず保険導入すること。

(理由)

 う蝕多発傾向者その他を分ける根拠はない。

(7)

 歯科特定疾患療養管理料(B002)は、歯周疾患指導管理料(B001)、歯科口腔衛生指導料(B000)との別途算定を認めること。

(8)

 歯科口腔疾患指導料を復活すること。

(理由)

 口腔粘膜疾患などの指導は必要であるため、こうした指導が行われたときの評価を復活すること。

4 在宅医療(C000〜C006)

(1)

 歯科往診料を復活すること。

(理由)

 患者の求めに応じて訪問した場合は計画的な訪問とは別の取り扱いが必要。

(2)

 歯科訪問診療料(C000)、訪問歯科衛生指導料(C001)における文書提供を算定要件にしないこと。

(理由)

 煩雑な事務を簡素化し、歯科訪問診療に専念できるようにすること。

(3)

 歯科訪問診療料(C000)T、Uとも適正に評価すること。

(理由)

 現行点数ではコストが見合わない。

(4)

 グループホーム、ケアハウスに入所している複数の患者に対して同日に歯科訪問診療料(C000)を行った場合もそれぞれ歯科訪問診療料(C000)の算定を認めること。

(理由)

 グループホーム、ケアハウスは制度上、同一患家の取り扱いになっているが、実態に合わせて同一患家の扱いではなく、「施設扱い」とすること。

(5)

 歯科訪問診療料(C000)T・Uを算定できない場合も特掲診療の50/100加算・切削器具加算を認めること。

(理由)

 同一患家の2人目や施設の2人目以降で30分未満であっても負担は同等なため。

(6)

 新製義歯調整料(M035)または有床義歯調整料(M036)の算定日以外に、切削器具を訪問先に携行し有床義歯の調整などを行った場合も、切削器具加算を実態に応じて算定できるようにすること。

(7)

 訪問歯科衛生指導料(C001)の時間制限を廃止すること。

(8)

 老人訪問口腔指導管理料(C006)は、文書提供を算定要件にしないこと。

(9)

 施設における口腔管理を、衛生士の配置など制度的に確保できるまでは、訪問衛生指導なども含めて抑制しないこと。口腔衛生状態が全身疾患へ波及する影響が大きいことも十分考慮すべきである。

(10)

 口腔ケアを適切に評価すること。

(11)

 訪問看護指示料を算定できるようにすること。

5 検査(D000〜D100)

(1)

 歯周組織検査は、同一患者の1カ月以内の再検査は所定点数の50/100を100/100にすること。

(理由)

 ガイドラインに沿った治療計画に位置づけられた検査なので検査の間隔で減算する根拠がないと思われる。

(2)

 歯科疾患継続管理診断料(D002-4)は廃止すること。

(理由)

 歯科疾患継続指導料の流れは臨床実態に合わない。

(3)

 スタディモデルの保管期間を3カ月程度に短縮すること。

(4)

 平行測定の方法は、主治医の判断によるものとすること。模型作成の費用は別途評価すること。

(5)

 歯周組織検査(D002)の歯周精密検査は4点法による検査を認めること。

(6)

 歯科治療時の動脈血酸素飽和度監視を独立した評価とすること。

(7)

 基本診療料に包括されたEPT検査(電気的歯髄検査)を独立して評価すること。

(8)

 嚥下機能検査を新設すること。

(理由)

 摂食嚥下障害が大きくクローズアップされ、嚥下障害例の診断や嚥下機能評価等が必要とされているため。

6 画像診断(E000〜E301)

(1)

 診断料について、「写真診断の所見を診療録に記載した場合に限り所定点数を算定すること」との算定要件は撤廃すること。

(理由)

 フィルムは3年の保存義務があり現物で証明可能であるため。

7 投薬(F000〜F500)

(1)

 薬理作用による投薬を容認すること。

8 注射(G000〜G200)

9 リハビリテーション(H000〜H100)

(1)

 マイオモニターを用いた際のカルテ、レセプト記載を従来どおりに戻すこと。

(理由)

 治療の開始および終了時間、使用機器名をカルテ記載させ、レセプト摘要欄にも、実施年月日、時間等を記載させるのは過重なのでやめること。

(2)

 マイオモニターを用いた際の評価を片側と両側とを分けること。

10 処置(I000〜I100)

(1)

 処置・手術等のうち同じ診療行為については医科歯科格差を是正すること(口腔咽頭処置が算定できない、外科後処置が低いなど)。

(2)

 齲蝕処置(I000)は点数を引き上げ、算定要件を見直すこと。

(理由)

 大幅に包括されてしまったが基本的な治療として評価すべき。

(3)

 機械的歯面清掃は独立した点数として評価すること。

(理由)

 純然たる処置行為であるのに、医学管理に対する加算点数とする取り扱いには、何ら整合性が認められない。

(4)

 歯髄覆罩(I001)の算定制限を緩和すること。

(理由)

 即時充填形成、インレー修復、歯髄切断を行った場合も覆罩が必要な場合はある。

(5)

 除去料は引き上げ適正に評価すること。

(理由)

 冠除去、ポスト除去ともに時間を費やす、器具の損耗も考慮すべき。

(6)

 咬合調整(I000-2)は、歯数に応じて1回限りという制限を撤廃すること。

(7)

 知覚過敏処置(I002)は、大幅に点数を引き上げるとともに算定要件、回数を緩和すること。

(理由)

 1985年からこの点数なので引き上げるべきである。

(8)

 変色無髄歯に対する歯の漂泊について、歯の漂泊を行った場合の評価を復活すること。

(理由)

 病的な変色無髄歯に対する漂泊処置は治療として必要であるため。

(9)

 抜髄(I005)、感染根管処置(I006)、根管貼薬処置(I007)等の歯内療法の評価を引き上げるとともに隔壁についても別途評価すること。

(10)

 直接歯髄覆罩後1カ月以内の減算は行わないこと。

(11)

 抜歯を前提とした場合の根管貼薬処置(I007)の算定基準を従来どおりに戻すこと。

(12)

 根管充填(I008)の加圧根管充填加算は、補綴物維持管理料の届け出の有無での算定制限を撤廃すること。

(理由)

 補綴物維持管理料の届出の有無で、加圧根充を算定制限するのは根拠がないのでやめること。

(13)

 加圧根管充填加算についてはエックス線写真撮影を算定要件としないこと。

(理由)

 電気的根管長測定器を用いることで、必要十分な加圧根充は可能であり、根充後のエックス線写真による確認を算定要件とする理由はない。

(14)

 歯根端切除手術時に行う切除部の根管の閉塞の費用は包括せず、別途算定すること。

(15)

 初期う蝕小窩裂溝填塞処置(I003)は、点数を引き上げ包括した点数を別途認めること。

(理由)

 小窩裂溝の清掃、歯面の前処理の費用を包括せず認めるべきである。

(16)

 暫間固定でのエナメルボンドシステムの装着料、装着材料料は別途算定できるようにすること。

(17)

 歯周基本治療(I011)の評価を引き上げること。

(18)

 歯周治療用装置(I018)については歯周外科手術の有無に係わらず算定を認めること。

(19)

 歯周基本治療(I011)について、再SRPの算定を認めること。

(理由)

 同一初診内SRP1回のみでは歯周病の管理は困難なため。

(20)

 歯周疾患処置(I010)は、改定前の算定要件に戻すこと。

(21)

 歯周病のメインテナンスを適正に評価すること。

(理由)

 歯周疾患のメインテナンスが必要な患者に対して、メインテナンスが行えなくなった。

(22)

 所定点数が120点以上の処置(手術)の場合の特定薬剤の包括を廃止すること。

(23)

 レーザー加算を新設すること。

(理由)

 レーザーは高度先進医療として既に長く使用され、有効性や安全性が確立されているため。

(24)

 ラバー加算(I080)は、治療上必要があってラバーダム防湿法を行った場合は算定を認めること。

11 手術(J000〜J400)

(1)

 同一手術野または同一病巣における算定方法は、以前の個別算定方法に戻すこと。

(理由)

 歯牙の移植術と抜歯、抜歯と歯根嚢胞摘出術など強引な包括は改め、それぞれ個別算定をすべきである。

(2)

 抜歯手術(J000)の点数を引き上げること。

(3)

 抜歯手術(J000)と同時に歯肉を剥離して歯槽骨整形手術(J006)を行った場合は別途算定できるようにすること。

(4)

 歯冠修復物の除去を避けるためにする歯根端切除術(抜歯・再植)を認めない扱いをやめること。

(5)

 息肉除去手術(J005)は、抜髄、感染根管処置と併せて行った場合に限定せず、治療上必要に応じて認めること。

(6)

 口腔内消炎手術(J013)の算定に際してのカルテに記載を簡素化すること。

(理由)

 部位と図で十分であり改善すること。

(7)

 口腔内軟組織にささっている魚骨を除去した場合の費用を従前どおり算定できるようにすること。

(8)

 咽頭部、扁桃部に及んだ場合の除去の費用が算定できなくなっており不合理である。医科準用点数として復活すること。

(9)

 歯周外科手術(J063)(J064)の算定単位を1歯相当範囲に戻すこと。

(10)

 レーザー加算を新設すること。

(理由)

 レーザーは高度先進医療として既に長く使用され、有効性や安全性が確立されているため。

12 麻酔(K000〜K200)

(1)

 伝達麻酔(K000)は、評価を大幅に上げること。

(2)

 浸潤麻酔(K001)は評価を上げるとともに、所定点数が120点以上の処置などの場合も包括せず算定を認めること。

13 放射線治療(L000〜L003)

14 歯冠修復及び欠損補綴(M000〜M100)

(1)

 補綴物維持管理料(M000-2)については廃止し、本来の意味での維持管理ができるよう装着後の管理料を設定すること。
 当面、診断や印象採得、咬合採得等の技術料を大幅に引き上げること。また、実態の伴わない施設基準を廃止し、未届け医療機関の30%減算は取りやめること。
 医療機関単位でなく症例ごとの算定を認めること。患者の外傷などによる補管算定補綴物の破損は再製作の費用を算定できるようにすること。

(2)

 補綴時診断料(M000)は、2回目以降も算定を認めること。

(理由)

 診断のつど、補綴時診断料を算定するのが治療の進め方の基本である。最初から、予定通りに診断治療が進められるとは限らない。

(3)

 歯冠修復・欠損補綴ならびに補綴関連の技術料を引き上げ適正に評価すること。

(4)

 包括評価を改め個別に評価すること。

  ア

 歯肉圧排は包括でなく別途評価すること。

  イ

 暫冠被覆冠を評価すること。

  ウ

 補強線を使用した場合の費用は別途算定を認めること。

  エ

 有床義歯作成時の作業用模型は別途評価すること。

(5)

 メタルコアは、評価を引き上げ、包括された形成料、印象料、咬合採得料、築造体製作料、装着料、セメント料などを、それぞれ個別の行為ごとに算定できるようにすること。

(6)

 前装鋳造冠(M011)を小臼歯まで認めること。

(7)

 大臼歯の単冠での4/5冠を復活すること。

(理由)

 歯質の無駄な切削をなるべく減らす必要がある。

(8)

 健全歯質を残す観点から4/5冠とインレーの間の治療評価としてアンレーを新設すること。

(9)  歯冠継続歯(SK)は廃止した点数を復活すること。
(理由)

 臨床ではどうしてもSKでないと困るときがある。

(10)

 装着材料料Tは点数を引き上げること。

(11)

 保持装置は、バーへの装着の場合のみ加算が認められているが、床義歯の孤立歯部にも認めること。

(12)

 新製義歯調整料(M035)は算定要件の1口腔単位を1装置単位に戻すこと。有床義歯調整料(M036)との同月算定を認めること。

(13)

 有床義歯調整料(M036)は月1回との算定制限をなくすこと。

(14)

 治療用の仮歯を新設すること。前歯の離脱、紛失など根管治療が必要な場合など仮歯を評価すること。

(15)

 暫間義歯を保険で評価すること。

(理由)  早期(即時)の機能回復(審美回復)が求められる。治療を進めるうえで現行制度では対応が難しい。暫間的に義歯を入れ、治療終了後再度義歯製作を認めることが必要。
(16)  義歯製作のため製作した作業模型を認めること。
(理由)

 患者の口腔内状況を診査する以外でも、歯科技工物の製作に必要として製作した場合も評価すること。

(17)  ラバー加算(I080)は、治療上必要があってラバーダム防湿法を行った場合は算定を認めること。
(18)

 自費補綴物の修理・再装着については保険給付とすること。

(19)

 歯科技工士の技術と労働の評価を適正にすること。

(20)

 技工指示書の評価を行うこと。

15 歯科矯正(N000〜N100)
(1)

 セファロと同時撮影時のパノラマの診断料は50/100の減算をせず所定点数の算定とすること。
要求理由:

(理由)

 撮影される部分が同じという理由で減算しているが、撮影方法、得られる情報も異なり、片方で補えるものでなく、顎変形症の治療には不可欠な写真のため。

16 保険外併用療養費
(1)

 金属床総義歯は選定療養から全額保険導入とすること。

(2)

 C選療は廃止すること。

17 その他
(1)

 施設基準 第79の2「患者への説明を要する全ての手術とは、手術の施設基準を設定されている手術だけでなく、当該医療機関において行われる全ての手術を対象とする」との取り扱いは診療現場の実態とかけ離れた運用で、患者も全て望んではいないことから、施設基準として届け出た手術に限定すること。

(2)

 施設基準 第87 顎口腔機能診断料 (2)のアの下顎運動測定機について
 薬事法上、クラス2(管理医療機器)−歯科用下顎運動測定機は「顎関節の異常を診断するために下顎運動を電気的に測定する機器をいう」と定義づけられている。ほとんどの矯正歯科が施設基準として届出して使用していた機器は、機械式のクラス1に分類されているものであったが、なんの問題もなく、臨床において使用されてきたものである。
 機器について、機械式と電気式の優劣の違いについて、明確なエビデンスが存在しない現状において、これまでの臨床実績を踏まえ、機械式のものについても、下顎運動測定機としてクラス分類するべきである。